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専従者給与はいくらまで?上限と相場を税理士が解説【2026年最新】

専従者給与はいくらまで?上限と相場を税理士が解説【2026年最新】


「専従者給与はいくらまで払っていいの?」「月8万円が定番と聞いたけど、2026年も同じ?」――専従者給与の金額設定で迷ったとき、まずこの記事を確認してください。金額の決め方から2026年の変更点、税務調査対策まで順番に解説しています。

📋 専従者給与は「いくらまで」?まず結論

専従者給与は「いくらまで」?まず結論

青色申告の場合、専従者給与に法律上の金額上限はありません。ただし「労務の対価として相当な範囲」に限られるという実質的な制限があります。一方、白色申告の場合は配偶者が最高86万円、その他の親族は1人につき最高50万円と明確な上限が定められています。

「上限なし」という表現が独り歩きしがちですが、青色であっても「何百万円でも自由」というわけではありません。税務調査で「労務の対価として相当でない」と判断されれば、経費として認められなくなります。

また、2026年(令和8年)12月以後の源泉徴収事務から、基礎控除の引上げ・給与所得控除の最低保障額引上げに伴う変更が生じます。これにより、従来「月8万円」という定番の目安が変わる可能性があります。2026年から変わったポイントは、後ほど詳しく説明します。

📋 そもそも青色事業専従者給与とは

そもそも青色事業専従者給与とは

制度の概要

原則として、個人事業主が生計を一にする家族(配偶者・親族)に給与を支払っても、その金額は必要経費になりません(所得税法第56条)。これは、家族間の恣意的な所得分散を防ぐための規定です。

しかし、青色申告者に限り、一定の要件を満たせば家族への給与を全額必要経費に計上できます。これが「青色事業専従者給与」制度です(所得税法第57条)。家族の働きに応じた対価を経費化することで、世帯全体の税負担を適正化できます。

青色事業専従者の3つの要件

国税庁のNo.2075(青色事業専従者給与と事業専従者控除)では、青色事業専従者となるための要件を以下の3つと定めています。

  • ① 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
  • ② その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
  • ③ その年を通じて6か月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること

さらに届出書の提出と、届出書に記載した方法・金額の範囲内での支払いが必要です。要件を一つでも満たさない場合、経費計上が認められません。

「生計を一にする」とは

「生計を一にする」とは、必ずしも同居を意味しません。別居していても生活費・学費などを共有・送金している実態があれば、生計を一にするとみなされる場合があります。逆に、同居していても家計が完全に独立していれば生計別とみなされることもあります。

生計を一にしない家族(別世帯の家族など)への給与については、専従者給与ではなく通常の雇用として扱われ、別のルールが適用されます。詳しくは【税理士監修】個人事業主必見!生計を一にしない家族への給与に関する完全ガイドもあわせてご参照ください。

📋 青色事業専従者給与はいくらまで?上限の考え方

青色事業専従者給与はいくらまで?上限の考え方

届出書に記載した金額の範囲内が大前提

青色事業専従者給与として経費に算入できるのは、事前に税務署に提出した「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した金額の範囲内に限られます。届出額を超えた部分は、たとえ実際に支払っていても経費にできません。

途中で給与額を増やしたい場合は「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出する必要があります。変更届出書は増額・減額ともに必要で、提出前に遡って増額分を経費計上することはできません。

「労務の対価として相当」の判断基準

届出額の範囲内であっても、支払額が「労務の対価として相当でない」と判断されると、超過部分が否認されます。相当性の判断では、一般的に以下の3点が考慮されます。

  • ① 事業の種類・規模・収益の状況:事業規模が小さい場合、高額給与の合理性が問われやすい
  • ② 他の使用人に支払っている給与の水準:同じ業務を他のパート・従業員に支払う場合の水準との比較
  • ③ 同業他社で同種の仕事をしている従業員の給与水準:業界相場との乖離がないかどうか

実際に否認された事例

国税不服審判所の公表裁決では、専従者給与が争われた事例がいくつか存在します。

たとえば、歯科医が歯科衛生士の資格を持つ配偶者に支払った給与に関する裁決(令和元年9月6日)では、支払額全額が認められたわけではなく、「類似の同業者における青色事業専従者給与額の平均額」を基準に相当額が判断されました。専従者が資格を持っていたとしても、業界相場を大幅に上回る給与は否認リスクがあることを示す事例です。

また、「専ら従事」の要件を満たさないとされた裁決では、配偶者が他の業務(パートや別事業など)に相当時間を充てていたため、専従者として認められなかったケースがあります。

これらはあくまで個別事情に基づく裁決であり、「この金額なら必ず否認される」「この金額なら必ず認められる」という一般論は導けません。ご自身の状況に照らして検討することが重要です。

📋 白色申告の事業専従者控除との違い

白色申告の事業専従者控除との違い

白色申告の場合は「専従者給与」ではなく「事業専従者控除」という制度になります。仕組みが大きく異なるため、混同しないよう注意が必要です。

白色の事業専従者控除額は、以下のいずれか低い方が上限となります。

  • 配偶者:最高86万円
  • その他の親族(1人につき):最高50万円
  • ただし「事業所得等 ÷(事業専従者数+1)」の金額との低い方

たとえば事業所得が120万円で配偶者1人が専従者の場合、「120万円÷(1+1)=60万円」が上限となり、86万円ではなく60万円が控除額の上限です。

青色と白色の主な違いは次のとおりです。

比較項目 青色申告(専従者給与) 白色申告(専従者控除)
金額上限 法律上の上限なし(労務対価として相当な範囲) 配偶者86万円・その他50万円(所得割算式と低い方)
届出の要否 事前届出が必須 届出不要
手続きの手間 源泉徴収・年末調整が必要 確定申告で控除額を記載するだけ
節税効果 事業規模・所得が大きいほど有利になりやすい 手続きが簡易な分、効果は限定的

📋 「月8万円」「月10万円」は正解か?2026年の変更点

「月8万円」「月10万円」は正解か?2026年の変更点

なぜ「月8万円」が定番とされてきたのか

これまで「専従者給与は月8万円(年96万円)が定番」と言われてきた背景には、主に2つの理由があります。

一つ目は、所得税・住民税の負担が生じにくい水準だったことです。給与収入から給与所得控除と基礎控除を差し引くと、一定水準までは所得税・住民税がかかりません。年96万円はかつてその水準以下に収まりやすい金額でした。

二つ目は、源泉徴収事務の簡便さです。従来の源泉徴収税額表(月額表・甲欄)では、月額88,000円未満の給与については源泉徴収税額が0円とされており、毎月の源泉徴収事務が発生しませんでした。

2026年(令和8年)1月からの変更と2026年12月の追加改正

国税庁の公表情報によると、令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ・給与所得控除の最低保障額の引上げ)が令和8年12月1日に施行され、令和8年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます。

令和7年度税制改正(令和7年12月1日施行・令和7年分以後適用)により、源泉徴収税額表が全面改正されました。その結果、令和8年(2026年)1月分から、月額表(甲欄)で源泉徴収税額が0円となる給与の下限が88,000円未満から105,000円未満に引き上げられています。これは「年収103万円の壁」が「160万円の壁」へと見直されたことに伴う変更です。なお、令和8年12月1日施行の追加改正(令和8年度税制改正)により、令和8年12月以後の年末調整等でさらなる変更が生じます。

令和8年1月分からは月額105,000円未満の給与(甲欄)については源泉徴収税額が0円となります(令和7年分以前は88,000円未満)。ただし、令和8年12月以後の年末調整等では追加改正が適用されるため、最新情報は国税庁ウェブサイト「令和8年分 給与所得の源泉徴収税額表」でご確認ください。なお、これは扶養控除等(異動)申告書(甲欄)を提出している場合の数字です。申告書を提出していない場合(乙欄)は税額が高くなります。

「源泉徴収が不要」と「本人が非課税」は別の話

「源泉徴収不要」と「本人が非課税」は別の話です。混同しやすい部分なので、それぞれの意味を確認しておきましょう。

  • 源泉徴収が不要:毎月の給与支払い時に天引きする税額がゼロ、という意味。年末調整で精算するため、最終的に課税される場合もある
  • 本人(専従者)が非課税:給与収入から給与所得控除・基礎控除などを差し引いた後の課税所得がゼロになる、という意味

令和7〜8年の税制改正により給与所得控除・基礎控除の両方が変わっているため、「何万円以下なら非課税」という数字は一概に断言できません。専従者本人の他の所得や控除の状況によっても変わります。個別のシミュレーションは税理士にご相談ください。

📋 専従者給与を払うと配偶者控除・扶養控除は使えない

専従者給与を払うと配偶者控除・扶養控除は使えない

専従者給与を1円でも受け取った人は、その年の配偶者控除・扶養控除の対象にはなれません。これは金額の大小に関係なく、受け取った事実があれば適用外となります。

つまり、専従者給与を支払う場合は、「専従者に給与を払って経費にする効果」と「配偶者控除・扶養控除を失う効果」を比較検討する必要があります。

たとえば、所得税率が低い方にとっては、専従者給与を少額にして配偶者控除を活用する方が有利なケースもあります。逆に、事業主の所得が高く所得税率が高い方は、専従者給与を多く設定することで世帯全体の税負担を下げられる可能性があります。

配偶者控除(最大38万円)や配偶者特別控除と、専従者給与の節税効果をどう比較するかは、事業主の所得額・専従者の働き方・給与額の設定によって大きく変わります。一概に「どちらが得」とは言えないため、具体的な数字での比較検討が必要です。

📋 結局いくらが得?節税の分岐点と決め方

結局いくらが得?節税の分岐点と決め方

意識しておきたい3つのライン

専従者給与の金額を検討する際、以下の3つのラインを意識すると整理しやすくなります。ただし、令和7〜8年の税制改正の影響で具体的な金額は変動しているため、数字は目安として捉え、最新の情報で確認することが重要です。

  • ① 専従者本人に所得税・住民税が発生するライン:給与収入から給与所得控除・基礎控除などを差し引いた後の課税所得が生じる金額。令和7〜8年の改正で変動しているため、最新の控除額で試算が必要
  • ② 個人事業税の事業主控除290万円:事業所得が290万円を超えると個人事業税(税率3〜5%)が発生。事業主の所得を下げる観点でも専従者給与の設定が有効
  • ③ 国民健康保険料への影響:後述のとおり、個人事業主世帯の国民健康保険は世帯員の所得合算で保険料が決まる

なお、よく話題になる「130万円の壁(年収130万円以上で被扶養者から外れる)」は、会社員(被用者)の配偶者が社会保険の扶養に入っている場合に適用される制度です。個人事業主世帯には適用されません。

個人事業主とその家族は国民健康保険に加入しており、国民健康保険には「扶養」という概念がありません。専従者が給与をいくらもらっていても、社会保険上の扶養から外れるという問題は生じません。ただし、国民健康保険料は世帯員全員の所得を合算して計算されるため、専従者の給与が増えると世帯全体の保険料が上がる点は注意が必要です。

所得分散の考え方

所得税は累進課税のため、所得が高いほど税率が上がります。事業主の所得を下げて専従者に移転することで、世帯全体の税負担を軽減できる場合があります。

たとえば、事業主の所得税率が33%のとき、専従者に100万円の給与を払えば事業主の税負担が33万円減ります。専従者の給与にかかる税が33万円未満であれば、世帯全体では節税になります。事業主の税率と専従者の税率の差が大きいほど、所得分散の効果が高くなります。

金額別シミュレーション例

前提条件:事業主の課税所得500万円(所得税率20%)、専従者に他の所得なし、令和7年分の基礎控除・給与所得控除を適用。あくまで概算であり、個別の状況によって結果は大きく異なります。

専従者給与の月額 年間給与額 事業主の節税額(概算) 専従者の税負担 備考
月8万円 96万円 約19万円 改正後の控除額次第で変動 配偶者控除は使えなくなる
月10万円 120万円 約24万円 控除超過分に課税の可能性 国保料も考慮が必要
月15万円 180万円 約36万円 専従者側の税・国保負担が増加 労務対価の相当性も要確認

※ 上記は概算です。前提条件によって結果が大きく変わります。令和7〜8年の税制改正の影響も個人差があります。実際の金額設定については税理士にご相談ください。

所得が増えてきた場合、法人化による節税も選択肢の一つです。詳しくは個人事業主と法人の節税比較および法人化のタイミングをあわせてご覧ください。

📋 専従者給与の手続きと届出

専従者給与の手続きと届出

届出書の提出期限

「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出期限は以下のとおりです(国税庁の届出書案内より)。

  • 原則:その年の3月15日まで(3月15日が土日祝の場合は翌営業日)
  • 1月16日以後に新規開業した場合:開業の日から2か月以内
  • その年に新たに専従者が生じた場合:その事実が生じた日から2か月以内

提出先は、事業主の納税地の所轄税務署です。届出書は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。給与の金額・支給時期・昇給の条件なども具体的に記載する必要があります。

源泉徴収と年末調整

専従者に給与を支払うと、事業主は「給与の支払者」となります。次の手続きが必要です。

  • 給与支払事務所等の開設届出書:給与支払い開始から1か月以内に税務署へ提出
  • 扶養控除等(異動)申告書の提出を専従者から受け取る:甲欄適用のために必要
  • 毎月の源泉徴収と納付:税額がゼロの場合でも「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」の提出が必要
  • 源泉所得税の納期の特例:常時10人未満の従業員なら申請可能。原則毎月納付を年2回(1〜6月分を7月10日まで、7〜12月分を翌1月20日まで)に簡略化できる
  • 年末調整:12月の給与支払い時に精算。令和8年12月以後は新様式が適用される

青色申告の手続き全般については、青色申告の手続きガイドもあわせてご参照ください。

帳簿と給与の支払い方

専従者給与は実際に支払った事実が必要です。以下の点を守って証跡を残しましょう。

  • 振込での支払いが原則:通帳に記録が残るため、支払い事実の証明になる。手渡しの場合は受取証(領収書)を保管すること
  • 未払い計上は認められない:帳簿に給与計上していても実際に支払っていない場合は経費不算入
  • 給与台帳・賃金台帳の整備:支払日・支払額・源泉税額などを記録する帳簿を作成する

📋 税務調査で否認されないための実務ポイント

税務調査で否認されないための実務ポイント

専従者給与は税務調査で確認されやすい項目の一つです。以下のチェックリストを参考に、日ごろから証跡を整備しておきましょう。

  • 出勤簿・業務日報を作成している:「専ら従事」の実態を示す記録。具体的な業務内容・時間・日付を記載する
  • 給与は実際に振込で支払い、通帳記録を保管している:現金手渡しの場合は受取証を残す
  • 同業他社・求人情報で同種業務の給与水準を調べた記録がある:金額設定の合理的根拠として保管する
  • 不自然な増額をしていない:利益が急増した年だけ大幅増額すると恣意性を疑われる。変更届出書は毎年更新が基本
  • 専従者が他に本業・パートを持っていない:他の仕事に「6か月超」従事していると「専ら従事」に該当しなくなる
  • 業務の内容が事業に関連している:事業と無関係な家事労働は「専従」に含まれない
  • 届出書・変更届出書が正しく提出されている:提出期限・記載内容を確認する
  • 給与の金額が届出書の記載額の範囲内である:超過部分は自動的に経費不算入

これらを「念のため」ではなく、日常業務として習慣化することが重要です。調査が入ってから書類を揃えようとしても、後付けの証拠は信頼性が低く評価されます。

📋 大阪・守口市で専従者給与のご相談は野村和也税理士事務所へ

大阪・守口市で専従者給与のご相談は野村和也税理士事務所へ

野村和也税理士事務所は、大阪府守口市を拠点に、守口市・門真市・寝屋川市・大東市など北河内エリアの個人事業主・フリーランスの税務をサポートしています。

専従者給与の金額は「いくらなら正解」という一律の答えがなく、事業の規模・業種・専従者の業務内容・事業主の所得水準などによって最適解が異なります。「この金額で問題ないか確認したい」「届出書の書き方を教えてほしい」「源泉徴収の手続きをはじめて行う」といったご相談も、初回無料でお受けしています。

創業・新規開業から、日々の記帳・確定申告まで、ワンストップで対応いたします。専従者給与に限らず、税務のことはお気軽にご相談ください。

📋 よくある質問

よくある質問

Q1. 事業が赤字でも専従者給与は払える?

A. 届出書を提出していれば給与の支払い自体は可能です。ただし、赤字の状態で高額の専従者給与を支払い続けると、「労務の対価として相当」の判断で問題になる可能性があります。また、赤字が続く場合は事業の実態も含めて総合的に検討することをお勧めします。

Q2. 専従者に賞与(ボーナス)を出せる?

A. 届出書に賞与の支給方法・支給時期・計算方法を記載していれば、賞与も経費に算入できます。届出書に記載のない賞与は経費にできません。賞与を出す予定がある場合は、届出書作成時に忘れずに記載してください。

Q3. 年の途中から専従者にできる?

A. 新たに専従者となる事実が生じた日から2か月以内に届出書を提出すれば、年の途中からでも専従者給与として経費計上できます。ただし、「その年を通じて6か月を超える期間、専ら従事」の要件は変わりません。年の後半から専従者になった場合、その年は6か月の要件を満たせないことがあります。

Q4. 専従者がパートを掛け持ちしていたらどうなる?

A. 「専ら従事」の要件が問題になります。他のパートや仕事に従事している時間・期間によっては、「専ら従事」と認められなくなる場合があります。一般的には、他の仕事が年間6か月を超えると要件を満たさないとされていますが、事業への従事時間と他の就労時間の割合・実態なども考慮されます。掛け持ちをする場合は事前に税理士に確認することをお勧めします。

本記事は2026年8月時点の情報です。税制は改正される場合がありますので、最新の情報は国税庁のホームページをご確認ください。

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野村和也税理士

この記事の監修者

野村 和也(のむら かずや)

税理士|野村和也税理士事務所 代表

大阪府守口市を拠点に、創業・新規開業支援を専門とする税理士事務所。個人事業主から法人まで幅広い税務・会計をサポート。無料相談対応可能。