大阪府守口市にある『野村和也税理士事務所』のWEBサイトです。守口市だけでなく門真市、寝屋川市、大東市や、神戸、京都など関西地域の個人事業主、経営者様のサポートをしております。
【大阪府守口市】野村和也税理士事務所
06-6997-3777
09:00~18:00(月〜金)

開業費はいつまでさかのぼれる?何年前まで入れていい?対象になるもの・仕訳・償却を税理士が解説

開業費はいつまでさかのぼれる?


「開業前に使ったお金は、いつの分まで経費にできるの?」――開業準備のご相談で、とてもよく聞かれる質問です。この記事では、開業費をさかのぼって計上するときの考え方と、実際の手続きを順番にお伝えします。

最初に結論をお伝えします。開業費は、法律上「何年前まで」という期限は決まっていません。ただし、何でも入れられるわけではなく、「開業の準備のために特別に使ったお金」だと説明できるかどうかがポイントになります。

実務では、開業の数か月前から1年前くらいまでの支出を目安にするケースが多く見られます。それより前の支出でも、開業準備との関係を証拠で示せれば認められる余地はありますが、時間がたつほど説明は難しくなります。

※記事中の金額・制度は2026年10月時点の法令にもとづいています。制度は改正されることがあるため、実際の手続きの際は最新の情報をご確認ください。

このページで分かる事

📋 開業費はいつまでさかのぼれる?まず結論

開業費はいつまでさかのぼれる?まず結論

まずは「いつまでさかのぼれるのか」という疑問に、根拠とあわせてお答えします。

法律上「何年前まで」という決まりはない

個人事業の開業費は、所得税法施行令第7条で「事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と決められています。この定義には、「開業の何年前まで」という期間の制限は書かれていません。

つまり、期間で一律に線が引かれているのではなく、「開業準備のために特別に使ったお金かどうか」という中身で判断されるということです。数年前の支出でも開業準備のためと説明できれば対象になり得ますし、反対に1か月前の支出でも、開業と関係がなければ対象になりません。

実務の目安は「開業の数か月前~1年前」

期限がないといっても、古い支出を入れるほど、「本当に開業準備のためだったのか」を説明する必要が出てきます。多くの事業は準備を始めてから1年以内に開業するため、実務では開業の数か月前から1年前くらいまでの支出を目安にするケースが多く見られます。

1年以上前の支出でも開業費にできるケース

1年以上前の支出でも、次のように「その時点で、すでに開業に向けて具体的に動いていた」と示せる場合は、開業費に入れられる可能性があります。

  • 飲食店:1年以上前から物件探しや内装業者との打ち合わせを始めていた
  • 許可・届出が必要な事業:開業の許可を取るための準備に時間がかかった
  • ネットショップ・製造業:商品の仕入れ先探しや試作を長く続けていた

いずれの場合も、物件の問い合わせ記録、業者とのメール、事業計画書など、開業準備が具体的に進んでいたことを示す記録が欠かせません。反対に、「いつか独立しようと思っていた」という程度の時期の支出は、開業準備のための支出とは認められにくいと考えておきましょう。

税理士によって判断の幅がある理由

法律に期間の決まりがないため、「何か月前までなら大丈夫」という線の引き方は、税理士によっても考え方に幅があります。数か月前までと慎重に考える方もいれば、準備の実態があれば2年前程度まで検討する方もいます。

大切なのは、年数そのものよりも一つひとつの支出について「開業準備のためだった」と自信を持って説明できるかです。説明に迷う支出は無理に入れず、説明できるものだけを入れる、という考え方が安全です。

開業費のご相談では、支出を一つずつ一緒に確認して「これは入れましょう」「これはやめておきましょう」と仕分けていきます。古い支出ほど、当時の状況を思い出していただくことが大切になります。

「開業日」の決め方で、開業費の範囲が変わる

もう一つ大切なのが、どこまでが「開業前」なのかという区切りです。区切りになる開業日は、開業届の「開業日」欄に書く日で、開業届を提出した日ではなく、実際に事業を始めた日を書くのが基本です。お店であればオープンした日、フリーランスであれば最初の仕事を受けた日などが目安になります。

開業日より前の支出は「開業費」、開業日以後の支出は通常の経費として扱います。開業届は、事業を始めた日から1か月以内に出すのが原則です(2026年10月時点)。「届出を出すのが遅れたから、それまでの支出はすべて開業費」とはならない点に注意しましょう。

📋 そもそも開業費とは?普通の経費との違い

そもそも開業費とは?普通の経費との違い

ここで、開業費とはどんなものなのかを整理しておきます。普通の経費との違いがわかると、仕訳や申告の考え方がすっきりします。

開業費は「繰延資産(くりのべしさん)」の一つ

開業前に使ったお金は、その年の経費として一度に差し引くのではなく、いったん「開業費」という資産として記録し、開業後に経費にしていく仕組みになっています。このような扱いをするものを「繰延資産」と呼びます。「費」という字が付いていますが、開業費そのものは経費の科目ではありません。

考え方としては、「開業準備のための支出は、開業後の売上のために使ったお金だから、売上が出始めてから経費にしよう」というものです。経費にする手続きのことを「償却(しょうきゃく)」といいます。

開業費になる4つの条件

開業費として扱うためには、次の4つを満たしているかを確認しましょう。

条件内容
① 開業準備のための支出開業する事業のために使ったお金であること(生活費や趣味の買い物は対象外)
② 特別に支出したもの開業のために特別に使ったお金であること(開業と関係なく、もともと払っていたお金は対象外)
③ 開業日より前の支出実際に事業を始めた日より前に支払ったものであること
④ 証拠が残っている領収書や通帳の記録など、支払った事実と目的を示せること
※所得税法施行令第7条の定義をもとに、わかりやすく整理したものです。

特に④の証拠は、さかのぼって計上するときほど大切になります。条件を満たしているか迷うものは、個別の状況によりますので、税理士に確認されると安心です。

📋 開業費に含まれる費用の例

開業費に含まれる費用の例

ここからは、具体的にどんな支出が開業費になるのかを見ていきます。

支出の種類具体例
市場調査・情報収集の費用競合店の視察、業界の資料や書籍の購入
広告宣伝費ホームページの制作、名刺・チラシの作成、開業の告知
打ち合わせの交通費・飲食代取引先の候補や内装業者との打ち合わせ
準備期間の家賃・水道光熱費店舗や事務所を借りて開業準備をしていた期間の分
通信費準備に使ったスマートフォン・インターネット代(事業で使った割合)
研修・セミナー代開業する事業に直接関係するもの
10万円未満の備品・事務用品文房具、小さな家具や器具など
※一般的に開業費として扱われることが多いものの例です。実際の判断は個別の状況によります。

ポイントは、「その支出がなかったら開業の準備が進まなかった」と言えるかどうかです。迷ったときは、この視点で考えてみてください。

業種別に見る開業費の例

業種によって、開業前にかかるお金の中身は大きく変わります。当事務所によくご相談いただく業種の例を挙げます。

業種開業費になりやすいもの開業費にならず別に扱うもの
飲食店・カフェ物件探しの交通費、保健所との相談の交通費、開店チラシ、試作の食材代厨房機器(10万円以上)、内装工事、店舗の敷金、開店用の食材の仕入れ
美容サロン開店の告知、ホームページ制作、準備期間の家賃施術用の機器(10万円以上)、販売用の化粧品の仕入れ
フリーランス・士業名刺・ホームページ制作、営業のための交通費、事業に直接関係する研修代10万円以上のパソコン、資格を取るための学校の費用
※一般的な例です。実際の判断は支出の内容や状況によります。

飲食店やカフェの開業では、内装工事や厨房機器など大きな支出が続きます。開業前の資金計画については、次の記事でも解説しています。

▶ 関連記事:【飲食店開業はやめたほうがいい?】失敗する7つの理由と成功する人の違い【税理士監修】

📋 開業費に含まれない費用の例

開業費に含まれない費用の例

開業前に払ったお金でも、開業費に入れられないものがあります。ただし、「経費にならない」とは限らず、別の方法で経費にできるものもあります。

開業後に払った費用

開業日以後に払った家賃や通信費などは、開業費ではなくその年の通常の経費として扱います。開業日をまたいで続いている支払いは、開業日を境に分けて考えましょう。

事業と直接関係のない費用(資格取得・スクール代など)

生活費や個人的な買い物はもちろん、開業する事業と直接関係のない講座の費用も開業費には入りません。また、開業前に資格を取るための学校の費用は、原則として開業費になりません。資格は事業ではなく本人に身につくものと考えられるためです。

一方で、開業する事業に直接必要な実務研修やセミナーの費用は、開業費に入れられる可能性があります。迷うものは、支出の目的と内容を記録しておきましょう。

商品の仕入れ

開業前に仕入れた販売用の商品は、開業費ではなく仕入れ(売上原価)として扱います。売れ残った分は、決算のときに在庫として計上します。

敷金・礼金・前払家賃

支出扱い
敷金・保証金退去時に戻ってくるお金なので経費にならない(資産として記録する)
礼金(20万円以上)開業費とは別の繰延資産として、契約期間などに応じて数年に分けて経費にする
開業前の期間の家賃開業費に入れられる
開業後の期間の家賃を前払いした分前払費用として記録し、開業後の経費にする
※2026年10月時点。所得税法施行令第7条・第139条の2などをもとに作成。

10万円以上の備品(パソコンなど)

検索でもよく調べられているのが、「開業前に10万円以上のパソコンを買った場合、開業費に入れていいのか」という点です。答えは、開業費には入れず、減価償却資産として扱うのが基本です。

10万円以上の備品は、事業に使い始めた日(多くは開業日)から、決められた年数に分けて経費にしていきます。たとえばパソコンの場合、法律で決められた使用年数(耐用年数)は4年です。

なお、20万円未満の備品は3年で均等に経費にする方法を選べるほか、青色申告をしている場合は、一定額未満の備品を一度に経費にできる特例が使えることもあります。どの方法が有利かは、その年のもうけの見込みによって変わります。

開業前から持っていた私物を事業に使う場合

もともと私的に使っていたパソコンや車を、開業後に事業で使う場合も、開業費には入れません。買ったときの金額から、事業に使い始めるまでの目減り分を差し引いた金額を資産として記録し、そこから減価償却で経費にしていきます。

目減り分の計算には決まった方法があり、少し複雑です。金額が大きいものは、税理士に計算を確認してもらうと安心です。

開業前に買ったパソコンや厨房機器を、まとめて「開業費」に入れてしまっている申告をときどき見かけます。金額や種類によって扱いが変わるので、10万円を超えるものは分けて記録しておきましょう。

📋 開業費の仕訳方法と確定申告での書き方

開業費の仕訳方法と確定申告での書き方

ここからは、開業費の帳簿のつけ方と、確定申告書への書き方を見ていきます。

支出したときの考え方

開業前はまだ事業の帳簿がないため、開業前の支出は、領収書などをもとに一覧にまとめておき、開業日にまとめて仕訳をするのが一般的です。すでに会計ソフトを使い始めている場合は、支出のたびに「開業費」として記録しておく方法もあります。

開業したときの仕訳

開業前の支出は、多くの場合、ご自身の財布や個人の口座から支払っています。そのため、開業日に「開業費」と、事業のもとでとなる「元入金(もといれきん)」で仕訳をするのが一般的です。

借方金額貸方金額
開業費600,000円元入金600,000円
※開業前の支出60万円を、個人のお金で支払っていた場合の例です。

決算のときの仕訳

開業費を経費にする年は、決算のときに「開業費償却」という経費の科目を使って仕訳をします。

償却の方法借方金額貸方金額
任意償却で、全額を一度に経費にする開業費償却600,000円開業費600,000円
均等償却で、1年分(12か月)を経費にする開業費償却120,000円開業費120,000円
※開業費60万円の場合の例です。均等償却は60万円÷60か月×12か月=12万円で計算しています。

個人事業のお金と生活費の分け方(元入金や事業主貸など)については、次の記事でも詳しく解説しています。

▶ 関連記事:個人事業主の生活費の決め方と仕訳のすべて【初心者向け完全ガイド】※税理士監修

確定申告書(青色申告決算書)への書き方

開業費の償却は、青色申告の方は青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄、白色申告の方は収支内訳書の同じ欄に記入します。開業費の金額、その年に償却した金額、残りの金額(未償却残高)を書いておきましょう。

会計ソフトを使っている場合は、開業費を「繰延資産」として登録すれば、決算書の欄に反映されることが多いです。任意償却の場合は、その年に償却する金額を自分で入力する形になります。

なお、青色申告で最大65万円の控除を受けるには、事前に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。新しく開業した方は、開業日から2か月以内が提出の期限です(2026年10月時点)。

📋 開業費の償却方法|任意償却で節税につなげる

開業費の償却方法|任意償却で節税につなげる

開業費は、経費にしていく方法(償却)を2つから選べます。ここに、開業費ならではの節税のポイントがあります。

均等償却と任意償却の違い

方法内容向いているケース
任意償却好きな年に、好きな金額を経費にできる開業直後は赤字で、黒字になってから経費にしたい
均等償却60か月(5年)で均等に経費にする毎年の計算を一定にしたい
※所得税法施行令第137条をもとに作成(2026年10月時点)。

開業費の大きな特徴は、任意償却を選べることです。経費にするタイミングを自分で決められるので、税金の負担を調整しやすくなります。均等償却の場合、開業の年は開業した月から12月までの月数分を経費にします(たとえば10月開業なら3か月分)。

任意償却を使った例

たとえば、開業費が60万円あった場合で考えてみます。

年もうけ(償却前)開業費の償却ポイント
1年目(開業の年)赤字0円赤字の年に経費を増やしても、その年の税金は減らないため、あえて償却しない
2年目200万円の黒字60万円黒字になった年にまとめて経費にし、税金を抑える
※わかりやすさを優先した一例です。実際の税額は所得や控除の状況によって変わります。

このように、もうけが出た年に経費をぶつけることで、同じ60万円でも税金を減らす効果を生かしやすくなります。任意償却は、まだ経費にしていない残りの金額(未償却残高)がある限り、何年目でも使うことができます。

赤字の繰越しとの使い分け

青色申告をしている場合、赤字は翌年以降3年間繰り越して、黒字と相殺することができます(2026年10月時点)。「それなら開業1年目に全額償却して、赤字を繰り越せば同じでは?」と思われるかもしれません。

違いは期限です。赤字の繰越しは3年で使えなくなりますが、任意償却で残しておいた開業費には期限がありません。黒字になるまで時間がかかりそうな事業ほど、開業費は無理に1年目に償却せず、残しておくほうが有利になるケースがあります。どちらが有利かは見込みによって変わるため、個別の状況によります。

開業1年目は売上が安定しないことも多いので、焦って開業費を全額経費にする必要はありません。黒字になる時期の見込みを立ててから、償却のタイミングを決めるのがおすすめです。

📋 税務調査で指摘されないための証拠の残し方

税務調査で指摘されないための証拠の残し方

開業費をさかのぼって計上するときに、いちばん大切なのが証拠です。税務調査で指摘されないためのポイントを整理します。

税務調査で指摘されやすいケース

  • 私的な支出が混ざっている(家族との食事、個人的な買い物など)
  • 開業準備との関係が説明できない古い支出が入っている
  • 10万円以上の備品を、減価償却せずに開業費に入れている
  • 過去の申告ですでに経費にした支出を、もう一度開業費に入れている

指摘を受けると、開業費から外れた分の税金をあらためて納めることになり、過少申告加算税や延滞税がかかる可能性があります。開業費は「入れられるものを、証拠と一緒に入れる」ことが基本です。

領収書・レシートに「目的」をメモしておく

開業費の証拠の基本は、領収書やレシートです。あわせて、「何のために使ったのか」を余白やメモに書いておくと、後から説明しやすくなります(例:「店舗物件の下見」「内装業者と打ち合わせ」)。

領収書がない場合は、通帳やカードの明細で補う

開業前の支出は、領収書を捨ててしまっていることも多いものです。その場合でも、通帳の記録やクレジットカードの明細で支払いの事実が確認できれば、開業費として扱える場合があります。

電車代など領収書が出ないものは、出金伝票(しゅっきんでんぴょう)に日付・行き先・金額・目的を書いて残しておきましょう。打ち合わせのメールやメッセージ、見積書、契約書なども、開業準備のための支出だったことを示す材料になります。

支出の一覧表を作っておく

開業費は、支出を一覧表にまとめておくと、仕訳も説明もぐっと楽になります。次のような項目で整理しておきましょう。

日付支払先内容金額支払方法証拠開業準備との関係
2026/4/10○○不動産店舗物件の内覧(交通費)1,200円現金出金伝票店舗物件探し
2026/6/2○○印刷開店チラシ33,000円カード領収書開店の告知
※記入例です。古い支出ほど「開業準備との関係」の欄を具体的に書いておくと安心です。

過去の申告で経費にした支出は入れられない

副業などで以前から申告をしていた方は注意が必要です。過去の確定申告ですでに経費にした支出を、あらためて開業費に入れることはできません。同じ支出を二重に経費にすることになるためです。開業費の一覧を作るときは、過去の申告と重なっていないかも確認しましょう。

帳簿のつけ方に不安がある方は、次の記事もあわせてご覧ください。

▶ 関連記事:【青色申告は自力で出来る?】やり方や帳簿の仕方、リスクやデメリットを解説!【※税理士監修】

📋 開業費と創立費の違い|法人の場合

開業費と創立費の違い|法人の場合

ここまでは個人事業の開業費を説明してきましたが、会社(法人)を作って事業を始める場合は、「開業費」と「創立費(そうりつひ)」の2つに分かれます。

区分いつの支出か主な例
創立費会社を設立するまで定款の認証の費用、設立登記の登録免許税、司法書士への報酬など
開業費会社の設立後、事業を始めるまで開店の広告、準備期間の事務所家賃、打ち合わせの交通費など
※2026年10月時点。法人税法施行令第14条をもとに作成。

法人の場合、会社の設立前に払ったお金は、法人の開業費には入りません。設立前の支出は、創立費にあたるか、代表者が立て替えたものとして会社が精算するかなどを、個別に考える必要があります。どちらも、個人事業の開業費と同じように任意償却を選ぶことができます。

会社設立にかかる費用の全体像については、次の記事をご覧ください。

▶ 関連記事:【法人化の費用まとめ】会社設立に必要な準備を現役税理士が解説!

📋 開業費についてよくあるご質問

開業費についてよくあるご質問

3年前に買ったパソコンは開業費にできる?

パソコンの値段が10万円以上なら、そもそも開業費ではなく減価償却資産として扱います。3年間私的に使っていた場合は、先ほど説明した「私物を事業に使う場合」と同じように、目減り分を差し引いた金額で資産に計上します。10万円未満の場合でも、買った当時から開業準備のために使っていたと説明できなければ、開業費に入れるのは難しいと考えましょう。

開業届を出し忘れていても、開業費にできる?

開業費の区切りは、開業届を出した日ではなく実際に事業を始めた日です。開業届を出し忘れていても、開業前の支出は開業費として扱えます。ただし、開業届や青色申告承認申請書には提出期限があるため、気づいた時点で早めに提出しましょう。

副業から独立した場合も開業費になる?

すでに副業として事業の申告をしていた場合、同じ事業の準備のための支出は、開業費ではなく通常の経費として扱うのが一般的です。開業費になるのは、まだ始めていない事業の準備のための支出です。副業とは別の新しい事業を始める場合などは扱いが変わることがあるため、個別の状況によりますので、税理士にご確認ください。

開業費を計上し忘れていたらどうなる?

開業費を計上しなくても罰則があるわけではありませんが、本来差し引けたはずの経費を使わずに、税金を多く払っていることになります。任意償却なら、計上しておけば将来の黒字の年に経費にできます。過去の申告の直し方は状況によって異なるため、気づいた時点で税理士にご相談ください。

📋 まとめ|開業費は「準備の段階」から整えておくと安心

まとめ|開業費は「準備の段階」から整えておくと安心

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 開業費は、法律上「何年前まで」という期限はない
  • 判断のポイントは「開業準備のために特別に使ったお金か」。実務の目安は開業の数か月前~1年前
  • 区切りは、開業届を出した日ではなく実際に事業を始めた日
  • 10万円以上の備品・商品の仕入れ・敷金などは開業費に入れず、別に扱う
  • 開業費は任意償却を選べるので、黒字の年に経費にして税金を調整できる
  • 古い支出ほど、目的のメモや一覧表などの証拠をそろえておく

開業費は、準備の段階から記録を残しておくほど、後で迷わずに済みます。「これは開業費に入るのか」「いつ経費にすれば有利か」といった判断は、事業の内容やもうけの見込みによって変わります。

当事務所は、大阪府守口市を拠点に、創業・新規開業の支援を専門にしております。開業準備中の方からのご相談も多く、開業費の整理から開業届・青色申告の手続き、開業後の帳簿づけまで、まとめてサポートしております。開業前でも、どうぞお気軽に無料相談をご利用ください。

税理士への相談料や、無料相談でどこまで聞けるのかは、次の記事でまとめています。

▶ 関連記事:税理士への相談料の相場は?無料相談は可能?※大阪府守口市周辺なら!

野村和也税理士

この記事の監修者

野村 和也(のむら かずや)

税理士|野村和也税理士事務所 代表

大阪府守口市を拠点に、創業・新規開業支援を専門とする税理士事務所。個人事業主から法人まで幅広い税務・会計をサポート。無料相談対応可能。

大阪府周辺で税務のお悩みなら、当事務所の無料相談をご利用ください