確定申告をずっとしていないとどうなる?知恵袋の相談に税理士が回答【解消の手順つき】
「何年も確定申告をしていない。今さらどうしたらいいのか分からない」――そんなご相談は、実は税理士事務所では珍しくありません。この記事では、ずっと申告していない状態をどう解消するか、その手順と費用の考え方を順番にお伝えします。
最初に結論をお伝えします。確定申告をずっとしていない状態は、放っておいても自然には解消しません。一方で、税務署から連絡が来る前に自分から申告すれば、上乗せされるペナルティは大きく軽くなる仕組みになっています。
つまり、いちばん負担が軽く済むのは「今、自分から動くこと」です。この記事は、責めるためではなく、ここから元の状態に戻るための手順をまとめたものです。落ち着いて読み進めてください。
※記事中の税率・年数などは2026年9月時点の国税庁の公表内容にもとづいています。制度は改正されることがあるため、実際の手続きの際は最新の情報をご確認ください。
このページで分かる事

まずは「このまま申告しないでいると、どういう状態が続くのか」を整理しておきます。必要以上に怖がる必要はありませんが、何が起きるのかを知っておくと、次に何をすべきかが見えてきます。
確定申告は、本来は翌年の3月15日ごろまでに済ませる手続きです。期限を過ぎてしまっても、申告する義務そのものがなくなるわけではありません。期限を過ぎてから出す申告は「期限後申告(きげんごしんこく)」と呼ばれ、何年分であっても受け付けてもらえます。
「もう何年も経っているから、今さら出すと逆に目立つのでは」と心配される方もいます。ですが、期限後申告は正式に用意されている手続きです。遅れてでも自分から出すことが、制度上もっとも評価される行動だと考えてください。
申告していなかった期間について起きることは、大きく分けると次の2つです。
ここで知っておいていただきたいのは、ペナルティの重さは「自分から申告したか」「税務署に指摘されてからか」で大きく変わるという点です。詳しい割合は後ほど説明しますが、自分から申告した場合の上乗せは、指摘されてからの場合の3分の1程度にとどまります。
また、所得税の申告をすると、その内容は住んでいる市区町村にも伝わります。住民税や国民健康保険料が後から計算し直されることがある点も、あわせて頭に入れておきましょう。
見落とされがちなのが、税金以外の場面での影響です。住宅ローンの審査、保育所の入所申し込み、賃貸住宅の契約などでは、収入を証明する書類(所得証明書や確定申告書の控え)の提出を求められることがよくあります。
申告をしていないと、これらの書類がそろいません。「家を買おうとしたら収入の証明が出せなかった」「保育料の計算で困った」というきっかけで、無申告の状態に向き合うことになる方も多いのが実情です。人生の節目で困らないためにも、早めに整えておく価値があります。
何年も申告していない状態からのご相談は、当事務所でも珍しくありません。「こんな状態で相談してもいいのか」と気にされる方が多いのですが、そこから整えていくのが税理士の仕事です。

Yahoo!知恵袋などには、「ずっと確定申告をしていない」という相談が数多く寄せられています。ここでは、よく見かける相談の内容を3つのパターンに整理し、税理士の立場から回答します。ご自身に近いものを参考にしてください。
よくある相談:「アルバイトを掛け持ちしていて、年収は300万円くらい。確定申告が必要だと知らずに5年ほど何もしていません。どうなりますか?」
回答:このケースは、給料から税金が差し引かれていたかどうかで状況がまったく変わります。まずはお手元の給与明細や源泉徴収票(げんせんちょうしゅうひょう:1年間の給料と、差し引かれた税金が書かれた紙)を確認してください。
なお、払いすぎた税金を取り戻すための申告(還付申告)は、対象の年の翌年1月1日から5年間出すことができます。古い年から順に期限が来るため、心当たりがある方は早めに確認してみてください。
よくある相談:「フリーランスとして数年仕事をしてきましたが、開業届も確定申告も一度も出していません。売上はそれなりにあります」
回答:個人事業の場合は、売上から経費を差し引いた「もうけ(所得)」に対して税金がかかります。売上が大きくても、仕事に必要だった出費(経費)をきちんと拾い直すと、思っていたより税金が小さくなるケースは少なくありません。
ただし、数年分の領収書や通帳の記録を整理するのは、かなりの手間がかかります。売上の記録と経費の記録をそろえることが、最初の大きな山になります。後ほど紹介する「解消の手順」を参考に、まずは資料集めから始めましょう。
よくある相談:「会社員をしながら副業をしていて、副業の収入を一度も申告していません。家族の扶養に入っている時期もありました」
回答:会社員の場合、副業などの所得が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です(2026年9月時点)。副業の所得がこれを超えていた年については、期限後申告を検討することになります。
また、扶養に入っていた場合は、ご家族の側の扶養控除や、健康保険の扶養の扱いに影響することがあります。ご自身の申告だけでなく、ご家族の申告もあわせて見直す必要が出てくるため、判断に迷うときは早めに専門家へ確認されることをおすすめします。
副業と申告の関係や、「会社に知られるのか」といった点は、次の記事で詳しくまとめています。
▶ 【副業で確定申告してない人は多い?】バレないの?現役税理士が解説!

ここからは、実際にどのくらいの金額を納めることになるのかを見ていきます。金額は個別の状況によって変わるため、ここでは「どういう仕組みで計算されるのか」という考え方をお伝えします。
期限後申告をした場合、本来の税金(本税)に加えて、次のようなものが上乗せされることがあります。
| 名前 | どういうものか | 主な割合(2026年9月時点) |
|---|---|---|
| 無申告加算税 | 期限までに申告しなかったことへのペナルティ | 原則15%(50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%) |
| 延滞税 | 納めるのが遅れた日数に応じてかかる利息のようなもの | 2026年は年2.8%(納期限から2か月を過ぎた部分は年9.1%) |
| 重加算税 | 収入を隠すなど、悪質と判断された場合に無申告加算税に代えてかかるもの | 40% |
このほか、所得税の申告内容をもとに、住民税や国民健康保険料、事業をされている方は個人事業税などが計算し直されることがあります。所得税だけで終わらないことも覚えておきましょう。
この記事でいちばんお伝えしたいのが、ここです。無申告加算税は、税務署から調査の連絡が来る前に、自分から申告した場合は5%に軽くなります(2026年9月時点)。
| 申告したタイミング | 無申告加算税の割合 |
|---|---|
| 税務署から調査の連絡が来る前に、自分から申告した | 5% |
| 調査の連絡は来たが、調査を受ける前に申告した | 10%(50万円を超える部分は15%、300万円を超える部分は25%) |
| 調査を受けてから申告した(または税務署が税額を決めた) | 15%(50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%) |
たとえば、ある年の本来の税金が30万円だったとします。自分から申告した場合の無申告加算税は30万円×5%=1万5,000円ですが、調査を受けてからだと30万円×15%=4万5,000円になります。1年分で3万円の差ですから、5年分なら15万円ほどの差になる計算です。
延滞税も同じように、早く納めるほど小さくなります。期限後申告の場合、申告書を出した日から2か月以内に納めれば、それまでの期間は低いほうの割合(2026年は年2.8%)で計算されます。申告を先延ばしにしても、延滞税は日数に応じて増えていくだけです。
また、期限から1か月以内に自分から申告し、税金も期限内に納めているなど、一定の条件を満たす場合は、無申告加算税そのものがかからないこともあります。うっかり期限を過ぎてしまった方は、とにかく早めに出すことが大切です。
「今さら出したら、かえって罰が重くなるのでは」と心配される方がいますが、実際は逆です。自分から申告した人の負担が軽くなるように、制度が作られています。
収入の記録を捨てる、架空の経費を作るなど、事実を隠したりごまかしたりしたと判断された場合は、無申告加算税の代わりに重加算税(40%)がかかります。これは「うっかり申告していなかった」場合とは、はっきり区別されています。
裏を返せば、今ある記録をそのまま残し、ありのままを申告することが、負担を最も小さくする道です。なお、税務調査の連絡が来る前に自分から期限後申告をした場合は、原則として重加算税の対象にはなりません。
税務署がどのような点に注目しているのかは、次の記事でも解説しています。
▶ 税務署に目をつけられる個人や個人事業主の特徴まとめ!【現役税理士監修】
以前に青色申告(あおいろしんこく:きちんと帳簿をつける代わりに、税金面の優遇が受けられる申告方法)の届出を出していた方は、注意が必要です。期限内に申告しないと、最大65万円の特別控除が10万円に下がるなど、優遇の一部が受けられなくなります。
さらに、期限内に申告しない年が2年以上続くと、青色申告の承認が取り消されることがあります。青色申告を続けたい方ほど、早めに状況を整えておくことをおすすめします。

「何年も申告していないけれど、いったい何年分を出せばいいのか」という点は、ご相談で必ずといっていいほど聞かれる質問です。
税務署が税額を決めることができる期間は、原則として申告期限から5年間とされています(2026年9月時点)。そのため、無申告を解消するときは、まず直近5年分を目安に考えることが多くなります。
たとえば2026年9月に動き始める場合、2021年分から2025年分がひとつの目安です。ただし、どの年を申告の対象にするかは収入の状況によって変わります。所得が少なく、申告の必要がなかった年が含まれていることもあるため、1年ずつ確認していきます。
収入を隠すなど、偽りや不正な行為で税金を免れたと判断された場合は、さかのぼる期間が7年に延びます(2026年9月時点)。
「5年たてば消えるのを待てばいい」と考える方もいますが、待っている間も延滞税は増え続けます。また、何年さかのぼるかは税務署が状況を見て判断するため、ご自身で都合よく決められるものではありません。待つよりも、自分から整えるほうが結果的に負担は小さくなります。
何年分もまとめて申告すると、納める金額が大きくなり、「とても一度には払えない」という方もいらっしゃいます。そのような場合でも、分割で納めるための制度が用意されています。
代表的なのが「換価(かんか)の猶予(ゆうよ)」という制度です。一度に納めると生活や事業の継続が難しくなる場合に、原則として1年以内の範囲で、分割して納めることが認められることがあります。申請は、納期限から6か月以内に行う必要があります(2026年9月時点)。猶予が認められると、その期間の延滞税が軽くなる場合もあります。
申請には、収入や支出、財産の状況をまとめた書類が必要で、金額によっては担保を求められることもあります。払えないからといって申告自体をあきらめる必要はありません。申告と納付の相談は、分けて考えてよいのです。
「払えないから申告できない」と思い込んでしまうのが、いちばんもったいないパターンです。まず申告をして、納め方はそのあと相談する。この順番で大丈夫です。

ここからは、無申告の状態を解消するための具体的な手順です。一つひとつは難しくありません。順番に進めていきましょう。
まず、申告していない年を書き出すところから始めます。目安は直近5年分です。それぞれの年について、どこからどんな収入があったのかを思い出せる範囲でメモしておきましょう。
給料だけの年、副業があった年、個人事業の売上があった年など、年ごとに状況が違うこともあります。この段階では完璧でなくて大丈夫です。全体像をつかむことが目的です。
次に、申告に必要な資料を集めます。主なものは次のとおりです。
源泉徴収票をなくしてしまった場合は、勤務先に再発行をお願いできます。領収書が残っていない経費も、通帳やカードの明細で支払いの事実が確認できれば、経費として扱える場合があります。あきらめずに、残っている記録を集めてみてください。
資料がそろったら、1年分ずつ申告書を作ります。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、過去の年分の申告書も作成できます。
注意したいのは、年によって税金のルールが少しずつ違うという点です。控除の金額などが改正されていることがあるため、必ずその年分の様式で作成しましょう。
作成した申告書は、住所地を管轄する税務署に提出します。e-Tax(イータックス:インターネットでの申告)でも、郵送や窓口への持参でもかまいません。税務署から連絡が来る前に出すことが、加算税を軽くするための大切なポイントです。
何年分もある場合は、全部がそろうまで待つより、準備ができた年から順に出していく方法もあります。どの順番で出すのがよいかは状況によるため、迷ったら税務署や税理士に相談してみてください。
申告書を出したら、本来の税金を納めます。加算税と延滞税は、後日、税務署から通知が届くのが一般的です。申告書を出した日から2か月以内に納めると、延滞税を低い割合に抑えられます。
一度に納めるのが難しい場合は、先ほど紹介した猶予の制度を使って、分割での納付を相談しましょう。税務署に正直に事情を話すことが、いちばんの近道です。

ここまで読んで、「自分でもできそう」と感じた方もいれば、「とても一人では無理だ」と感じた方もいると思います。どちらが正解ということはありません。ご自身の状況に合わせて選んでください。
次のような場合は、ご自身で進めることも十分に可能です。
税務署の窓口では、申告書の書き方について相談することができます。まずは税務署に相談してみるのも一つの方法です。ただし、税務署はあくまで手続きの案内が中心で、「どうすれば負担を適正に抑えられるか」という提案まではしてもらえない点は知っておきましょう。
ご自身でも進められますが、次のような場合は、税理士に依頼したほうが時間的にも金額的にも負担を抑えられるケースが多いです。
税理士に依頼すると、資料の整理から、経費の拾い直し、申告書の作成・提出、税務署とのやりとりまでをまとめて任せることができます。特に個人事業の場合は、見落としていた経費を拾い直すことで、納める税金が適正な金額に下がることも少なくありません。
何年分もの申告を一人で抱えていると、それだけで気持ちが重くなります。「どこから手をつければいいか」を一緒に整理するだけでも、ずいぶん楽になるはずです。
税理士に期限後申告を依頼した場合の費用は、申告する年数、売上の規模、資料の整理の状況によって大きく変わります。一般的には「1年分の申告ごとの報酬」に、帳簿の作成が必要な場合はその作業分が加わる形が多くなっています。
正確な金額は、事務所ごと・状況ごとに異なります。まずは無料相談で状況をお話しいただき、見積もりを確認してから依頼するかどうかを決めるのが安心です。税理士の相談料の相場や、無料相談の使い方は次の記事で詳しく解説しています。
▶ 税理士への相談料の相場は?無料相談は可能?大阪府守口市周辺なら!

1年間の所得がなかった、または所得が少なく、基礎控除などの差し引ける金額を下回っていて納める所得税が出ない年については、所得税の確定申告は必要ないケースが一般的です。
ただし、住民税の申告をしておくと、国民健康保険料の軽減や、所得証明書の発行で役立つことがあります。無職の期間があった方は、お住まいの市区町村の窓口にも確認してみてください。
はい、います。たとえば勤務先が1か所で、年末調整を受けていて、副業などの所得が20万円以下の会社員は、原則として確定申告は必要ありません(2026年9月時点)。
ただし、医療費控除などを受けたい場合や、住民税の申告が必要な場合など、別の理由で申告が必要・有利になることもあります。ご自身が当てはまるかどうか分からないときは、個別にご確認ください。
連絡が来ていないことは、「問題がない」という意味ではありません。税務署が状況を把握するまでに時間がかかっているだけ、ということもあります。
むしろ、連絡が来ていない今こそ、加算税が最も軽く済むタイミングです。連絡が来てから動くと、先ほどお伝えしたとおり割合が上がってしまいます。「まだ何も来ていない」うちに動き始めることをおすすめします。
申告に間違いがあった場合の考え方は、次の記事も参考になります。
▶ 確定申告の間違いに気づかないとどうなる?対処法と知恵袋の質問に税理士が回答
「自分と同じような人はどれくらいいるのだろう」と気になる方も多いと思います。実際の割合や傾向については、別の記事で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。ご自身だけが特別というわけではないことが分かるはずです。
▶ 【税理士監修】確定申告してない人は多い?割合は?しないとどうなる?

最後に、この記事のポイントを整理しておきます。
何年も申告していないことに、罪悪感や不安を抱えている方も多いと思います。ですが、自分から動いた人の負担が軽くなるように、制度はできています。今日が、いちばん負担の少ないスタートの日です。
野村和也税理士事務所では、大阪府守口市を中心に、何年も申告していない状態からのご相談もお受けしています。「何から話せばいいか分からない」という段階でも大丈夫です。資料がそろっていなくても、まずは今の状況をお聞かせください。
申告していない期間が長いほど、一人で抱え込んでしまいがちです。責めるようなことは一切ありませんので、どうぞ安心してご相談ください。
この記事の監修者
野村 和也(のむら かずや)
税理士|野村和也税理士事務所 代表
大阪府守口市を拠点に、創業・新規開業支援を専門とする税理士事務所。個人事業主から法人まで幅広い税務・会計をサポート。無料相談対応可能。
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▶ 【副業で確定申告してない人は多い?】バレないの?現役税理士が解説!
📚 参考文献・出典
・国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」(令和8年4月1日現在法令等)
・国税庁「No.9205 延滞税について」(令和8年4月1日現在法令等)
・国税庁 税務大学校「国税通則法(基礎編)令和8年度版」(加算税・更正決定等の期間制限)
・国税庁「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」
※本記事の税率・年数等は2026年9月時点の情報です。